僭越ながら、内村選手の偉大さを綴ります

世界選手権6連覇と合わせ、オリンピック2連覇。 8年間無敗。 絶対王者。

今後、内村選手のように世界の体操に多大な影響を与えつつ、同じような流れで勝ち続ける選手は出てこないのではないでしょうか。
少なくとも、『難しいことを美しくやってこそ体操』という価値観を自ら結果を出し続けることで世界に示し、競技そのものにも多大な影響を与えたのは、内村選手ただ一人のはずです。

今回のオリンピック、個人総合でのベルニャエフ選手との歴史的な戦い、その後のあるインタビュアーからの『あなたは審判に好かれているのでは?』という愚かな質問等、いろんな意味でドラマがございました。

体操競技をある程度やった事のある方なら、近年稀にみる激闘を目の当たりにして興奮した!! だけで済むものを、体操をよく勉強もせずにざっくりとした印象だけで軽率な質問をぶつけるのは、その道を世界の第一線で真剣に戦う競技者に対して失礼極まりない行為ですね。

まあ、体操は採点競技ですし、わからなくもないですが、オリンピックにはオリンピックに相応しいインタビュアーを用意して欲しいものです。

そもそも、そんな審判の感情みたいなものが安易に採点に絡んでくるようなスポーツだとしたら、果たして全世界の体操選手はそんな競技のために日々必死に血のにじむような練習をし、リオにまでわざわざ行くでしょうか? 今回のこのインタビュアーの質問は内村選手に限らず、体操を競技として取り組んでいる選手全員・そして審判に対する冒涜(ぼうとく)ですよ。

世界戦の審判でなくとも、体操競技の採点規則(ルールブック)はかなり分厚く、詳細にまで理解できていないとその資格を取得できません。 ルール改定も必要に応じて度々行われるため、審判の方は大変です。 そして世界戦ともなれば、少しでもおかしな採点をした場合、即刻全世界から叩かれるわけで、審判からすれば、いかにフェアで正確な採点をするかだけを考えているはずです。 また、各種目において審判の国籍が偏らないような措置も当然ながらとられています。

審判がフェアな採点をしてくれることを信じているからこそ、体操選手は真剣に練習に取り組むことができるのです。

100歩譲って、今回のケースでいえば内村選手に対し、もしそういう『ひいき目』みたいなものが採点に絡んでいたとしましょう。
だとしても、それも含めて、過去の試合で問答無用の結果を示し、実績として重ねてきた内村選手の実力ですよ。

ただ、聞いてください。 当の内村選手だって、『次にこういう大きな大会でベルニャエフ選手と戦ったら、絶対に勝てない』と仰っています。 それは、審判が常にフェアな採点をするからこそ、出てくる言葉だとは思いませんか?


過去に体操を競技として取り組んだ方ならお分かりだと思いますが、今の採点規則ですと、全種目を集中力を保ちながら1試合をこなすだけでも、かなり体力的に大変だと思います。 内村選手のようにオールラウンダータイプの選手ですと、強ければ強いほどかなりの演技回数をこなさねばなりません。 団体の予選・決勝、個人総合、種目別。 

年齢的に、体操競技では特にですが、オールラウンダーとして戦うには厳しいという事でしょう。 『ベルニャエフ選手には、誰も手の届かないところまで行って欲しい』 とまで仰ってましたね。 【体操とはこうあるべき】というのを自身の背中を見せることで世界の選手にまで影響を与え、競技そのものでさえ牽引し育て、自らを追い抜かんとするものでさえも同じ体操人として尊敬し、愛する。 こんな素晴らしい選手が他に居るでしょうか?


激闘を演じたベルニャエフ選手も、内村選手の背中を追いかけ続けてきたからこそ、その技術を伸ばしてきたのかも知れません。
【こういう体操をしないと勝てない】 ベルニャエフ選手にとって、とりあえずは今も、その対象は内村選手のやっている体操なのですから。


さて、そのベルニャエフ選手も、我々を感動させてくれましたね。 先のインタビュアーの投げた質問に対し、『それは意味のない質問だ』と一蹴。 一番悔しかったはずのベルニャエフ選手がその言葉を放つことで、体操競技そのものを更に貴いものへと押し上げて下さいました。


今回のオリンピック、他の競技では、『試合後、相手選手の握手を拒む』という例の事件も話題となりましたね。


男子の体操競技、ご覧になった方は確認されていると思いますが、自分の演技が終わった後、他国の選手やコーチ陣と、握手やハグをしてから、自国の待機席へ戻っています。 素晴らしいと思いませんか☆ 競技中かつライバル国ですよ。

一般的には、競技中は他国は敵です。 試合後に相手を称えるのはスポーツマンとして当然としても、こんな清々しい画を見られるようになるとは思いませんでした。 これも、内村選手の影響が少しはあるのではないかと私は思います。
あまりにも強く、スター性をも兼ね備えた内村選手が現れます。 敬意を表し、試合後に内村選手に挨拶の握手を差し出す選手は多かったはずです。 内村選手は勝ち続けていますから、他国の選手であれ試合後に挨拶を交わすという機会が増えたのではないかと。 それが試合中にまで自然に派生していったとしても、何の不思議もありません。

無論、内村選手の中に、他国選手に対しての敬意があるからこそです。 敵である以前に、『同じ競技で戦う者』。そして『同じ体操人』。 内村選手に握手の手を差し伸べる選手が増えていったことで、試合運びの自然な流れとして、それが取り込まれていったのではないでしょうか。周りにいる選手も見ていますし、見ていて気持ちの良い行為というのは、スポーツの世界では、自然に広がっていきます。 ただ、内村選手にとっては、試合中であろうが、『知り合いの体操選手』いわば『体操仲間』なのです。 ここが肝心ですね。

競技としては戦っていても、同じ競技を愛した仲間であるという事。 これを先のインタビューの件で照らしてみると、内村選手に投げかけられた失礼な質問に対し、ベルニャエフ選手が怒ったという現象も、ごく自然なことなのかもしれませんね。
互いに尊敬しあっているわけですから。 そして、自分の携わっている競技自体も、冒涜されては堪りません。


さて、長々と書いてしまいましたが(笑)、そろそろまとめていきたいと思います。

内村選手を知るまでは、旧ソ連のセルゲイ・ハリコフ選手が私の中でのヒーローでした。 技のさばき方、姿勢の美しさ、革新的な技に取り組む独創性など、今動画等で見ても、素晴らしい選手だと思います。 ですが、今の私にとってのヒーローは内村航平選手です。 8年にもわたり、世界の頂点であり続けるその強さ。 期待されたら、期待された通りの結果を取ってみせるその凄さ。
ご本人しか知りえない、『王者であるが故の辛さ』、『王者でありつづけなければならない辛さ』みたいなものもあったことでしょう。
それに耐えつつ、今も戦っている内村選手を、同じ体操をやっている者の端くれとして、心から尊敬し、応援しています。

体操を、背中を見せることであるべき良い方向へと導いて下さったその功績は、『日本の誇り』なんて表現が小さいです。『体操界の誇り』として、世界で語り継がれます。


ま、私なんかがこうしてグダグダ書かなくたって、もうとっくにレジェンドなんですけどね(;^ω^)
生けるレジェンドかぁ。 リアルタイムでこの時代に内村選手の体操を観られる幸せを感じると同時に、私自身のカスさ加減にイラっときますなぁ。同じ人間なのにこうも違うか(笑)。

というわけで今回はここまで。 ご覧いただきありがとうございました☆



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Author:UNAZO
aMi体操倶楽部は、2008年、日本初の大人専門体操教室として愛知県春日井市に誕生しました(高校生以上対象)。
教室でのエピソードはもちろん、体操とは全く関係ないことも綴っていきます。

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